近年、テクノロジーは日常生活のあらゆる側面に革命をもたらしていますが、その中でも仮想現実(VR)技術の進化は著しいです。 Apple社がVision Proをリリースしたのも記憶にあたらしく、海外の大手企業が多くVR業界に参入しています。 そんなVR技術がゲームや教育の分野で注目を集めている中で、旅行業界への応用も進んでいます。
この記事では、VRが旅行体験をどのように変えているのか、そしてその将来性について考察していきます。
VR技術の基本とその進化
VRは、ユーザーが現実世界とは異なる、デジタルに作成された環境を体験できる技術です。日本で手軽に購入でき、現代のVRデバイスで有名なのは以下の2つです。
・Meta Quest3(Meta社、定価74,800円)
・PICO4(ByteDance社、定価49,000円)
どちらも高解像度のディスプレイと様々な機能を備え、ユーザーに没入感の高い体験を提供しています。実際にVRのゲームをしてみると、リアルさがゆえに危険も伴います。
私は卓球のゲームをしていたところ、前に卓球台があると本気で勘違いし、転倒しそうになりました。それだけの没入感があるということです。
しかしながら、重さや密着による湿気などの理由から、長く装着できて30分といったところでしょうか。軽量化、フィット感の向上などデバイスの更なる進歩がまだ必要です。
また、VRの映像を見られるプラットフォームの更なる整備も必要でしょう。
現状はYouTubeでVR映像を見ることができますが、需要供給ともに低いためさほどユーザビリティが高いとは言えません。
あらゆる面から見て、VRはまだ発展途上だと言えます。
VR旅行の現状
VRを利用した旅行体験は、「バーチャル旅行/ツーリズム」とも呼ばれ、遠隔地を実際に訪れることなく世界各地の名所や新しい場所を探索することを可能にします。
多くの旅行会社や観光地が、VRを利用してバーチャルツアーを提供し始めており、ユーザーは自宅にいながらにして、世界の街並みや絶景を楽しむことができます。
動画例)阪急交通社公式YouTubeチャンネルより
こういったツアー形式で、世界の絶景を見ることができるのは素晴らしいことですね。私自身もVRゴーグルを装着して世界中の映像を見ていますが、本当に感動します。
ただし、旅行においての「VR空間」は、下記の2つの種類があると考えています。
・構築された仮想空間、いわゆるメタバース
・カメラで撮影されたリアルの映像、いわゆる360°映像
個人的には、製作元が一流のゲーム会社でもない限り、前者でバーチャル旅行が流行ることはないと思っています。
360°カメラで撮影された美しい映像のバーチャルツアーが可能性を秘めているでしょう。とはいえVR旅行体験はまだ発展途上であり、多くの課題があります。例えば、VR酔いや不自然さなど、リアルな旅行体験にはもちろん及びません。
しかし、例えば視覚だけではなく触覚でも嗅覚でも楽しめるといった未来も、技術が進化するにつれてくるかもしれません。まだまだ可能性は無限大ですね。
VR旅行のメリット
上記の現状や課題を踏まえたうえで、VR旅行のメリットは3つ挙げられます。
①情報収集
また、VRのバーチャル旅行で満足するというのは、提供者側からしても消費者側からしてもほとんどないでしょう。
しかし、提供者は実際の旅行への申し込みに繋げ、消費者は実際の旅行に行く場所の候補地を探すという役割はあるはずです。そういった情報収集は、バーチャル旅行の役割かもしれません。
②アクセシビリティ
健康上の理由や物理的な問題で旅行が困難な方もいらっしゃいます。そういった方にとって、まるで映画館のように、VR単体で完結したエンターテイメントでもあるべきです。
例えばVRゴーグルを装着して北海道の美しい景色が見られるなら、それで感動していただける方は多くいらっしゃると思います。医療業界や介護業界で増えていくといいですね。
③教育的価値
歴史的な場所や文化的なイベントをバーチャルで体験することで、教育的な洞察を得ることができます。もうアフターコロナの時代ではありますが、海外への渡航などが様々な問題で難しいこともあるでしょう(特に今は円安の時代でもあります)。
学校現場で、遠くの文化や地理などをリアルに学ぶにあたり、VR旅行は情報を適切に伝えるツールになり得ます。例えば高校地理で習う「フィヨルド」「ステップ気候」といったキーワードを、写真とVR映像で見るのでは大違いです。
紙の教材から映像の教材へ、その次はVR教材になる時代も遠くないことでしょう。
結論
「自宅で旅する未来」は、すでにVR技術によって現実的になりつつありますが、技術的な面からも、マーケティング的な面からもまだまだ発展途中でしょう。
より手軽なVRデバイスが登場し、開発企業が大規模なマーケティングを行い、インフルエンサーがこぞって取り上げ、そして第三者の企業が広告等の投資をし始めたときに、一気に普及すると考えられます。
そう遠くない未来のはずです。3~10年以内には、新幹線でVRゴーグルを装着している人がザラにいる未来が来るのではないでしょうか。
楽しみに待っていましょう。